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2016年09月04日 [法律]
このところ、台風が立て続けに来ています。その影響か、天気が目まぐるしく変化します。昨日から雨が降っているのですが、降り方が弱いこともあってかとても蒸し暑く、今日は一日エアコンで過ごしました。
今日は、朝から家系図を作っていますが、明治の戸籍を見ていると誤りが多いですね。例えば、続柄について「長女」と書いてあったものが別の戸籍には「二女」になっていたり、名前が「安五郎」と書いてあったものが別の戸籍には「安三郎」となっていたりします。これは、戸籍の様式などが変わったり、分家などで新たに戸籍を作ったりする際に元の戸籍の記載内容を移記(転記)する際のミスであること多いです。そのような場合は元の戸籍が正しいことになりますので、当事務所で修正して家系図を作成しています。
今回は成人年齢の引き下げについてです。

今月1日、法務省は成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法の改正を行うため、その改正案を来年の通常国会に提出する方針を固めたそうです。早ければ2021年から施行されるそうです。

成人
民法で定めた成人年齢の引き下げによって、18歳や19歳でも親などの同意なく車のローンやクレジットカードなどの契約ができるようになります。
現行では20歳にならない未成年者が一人でした契約は、親などの法定代理人はその契約を取り消すことができます。これは、未成年者は判断能力に問題があるとして、不利な契約をそうと知らないで締結して思わぬ損害を被ることのないようにするためです。少なくとも成人年齢を引き下げると、18歳、19歳の成人になった時点で契約の取り消しなどについて法的な保護は受けられなくなります。
現在、18歳で自立して税金を納めている人は3割程度といわれます。責任の持てる年齢なのかということについて経済力だけでとらえたら心もとないところはあるかと思います。
ただ、明治29年の旧民法で「満二十年ヲ以テ成年トス」と定められたときから120年過ぎています。
その間に社会は大きく変化しました。それに伴って人も変わったと思います。諸外国でも約87%の国において18歳を成人としているようです。
飲酒、喫煙、ギャンブル、少年法の適用年齢等との関係も考慮した上、慎重な議論ををしてほしいと思います。



2015年03月08日 [法律]
法務大臣の諮問機関である法制審議会は、民法の抜本的な改正を答申したそうです。
民法制定から120年間、債券関係の規定についてはほとんど改正されていないため、時代の変化に合わない事項については判例の積み重ねによって対応してきました。しかし法律の外の多くの規範によるいわばつぎはぎによる時代の変化への対応というのは不自然ということになるのかと思います。
民法改正案は早ければ今国会中にも成立する見通しとのことです。
民法改正要綱のポイントは次のとおりです。

〇 約款について
現在、事業者が消費者と画一的な条件で契約時に用いる約款は、買い手がほとんど読まずに契約して、後でトラブルになるケースが多くあったが、改正案では、消費者の利益を一方的に害する項目は無効とする規定を設けた。
〇 賃貸住宅の契約について
現行では「敷金」に関する規定はなかったが、改正案では「家賃などの担保」と定義し、契約終了後には返還義務が発生するとした。借主は畳の擦れや日焼けなどの経年劣化であれば修理する義務はないことになる。
〇 連帯保証について
中小企業が融資を受ける際に求められる保証について、個人が連帯保証人になることを原則的として禁止とした。
〇 短期消滅時効について
従来、短期消滅時効については、飲食費1年、弁護士費用2年、病院の医療費3年などと職業ごとに異なっていたが改正案では5年に統一する。(未払い代金の取り立てを)できるときから10年」の原則は存続させる。
〇 法定利率について
現行の民法の法定利息については、低金利時代に対応して5%から3%ととし、3年ごとに市場金利に応じて1%単位で改定できる変動制を導入する。

明治29年に施行され120年も過ぎた現行民法は全体的に時代遅れの内容は少なくないようで、例えば物件の規定には「肥だめ」に関する条文が残っているそうです。法律というのは国会によって厳格な手続きを経て定められることから手間や時間を要し、変化の激しい現代に即応できるような柔軟性に欠けるということはやむを得ないのかもしれません。しかし、判例等による規範で時代に合わせていくというのは、原則ではない例外によって法規範を維持していることになります。
民法は、国民生活に直結している法律なのですから早急に改正する必要があるのは間違いのないことでしょう。

2015年01月12日 [法律]
保証はよく聞く言葉ですが、「根保証」というのはあまり知られていないかもしれません。

根保証とは、借金の保証の際に極度額を決めて、その極度額までを保証するというものです。
例えば、30万円のお金を借りる際に極度額500万円までの根保証の契約をしたとすると、当初は30万円の借金でも、その後、債務者が継続的な取引によって借金を重ねて極度額の500万円まで借りた後、破たんしてしまった場合、根保証人は、500万円まで保証しなければならないのです。
保証人を依頼されたときは、30万円借りるから保証人になってくれと言われ、30万円くらいなら万一のときでもなんとかなるだろうと思って契約をしてしまうというところに怖さがあります。債務者が不履行となり、債権者から500万円を請求された際、「いや、そんなことは聞いていない。30万円なら支払う」と言っても、根保証契約書に署名捺印をしてしまっていたらそのような言い分はとおりません。

根保証だけではなく、世の中には多くの契約があり、私たちは日常的に契約を繰り返して生活をしています。いや、契約なんてめったにしないと言われる方は勘違いをしています。例えば、スーパーマーケットやコンビニで物を購入することも契約なのです。毎日の食事を作るためにスーパーで魚や肉などの食品を買います。その際、商品を選んでレジでお金を支払って家に持ち帰ります。それが民法で定める申込みと承諾という双方の意思の一致した契約(法律行為)なのです。
したがって、レジでお金を支払った時点で契約が成立しますので、その後、原則として魚を買いすぎたから返品するということはできなくなるのです。ただ、一般的にスーパーは返品を受け付けるかもしれませんが、それはサービスであって法律上の義務ではないのです。

スーパーでの買い物を慎重にする必要はないと思いますが、高額な不動産を購入するときや他人の保証人になるなどの場合、確実に契約内容をよく見て完全に理解してから署名捺印をしてほしいと思います。世の中には1回の署名捺印によって破たんしてしまった人はたくさんいます。

2014年10月24日 [法律]
法律は無味乾燥なもので、難しい用語ばかりで関心がないというのが一般的なのかと思います。
雑学ですが、よく使う用語で間違いやすいものを挙げてます。

○「被告」と「被告人」
「被告」は民事訴訟で訴えられた人に対し、「被告人」は刑事訴訟で起訴された人のことです。
○「訴訟代理人」と「弁護人」
「訴訟代理人」は民事裁判で本人の代理をする弁護士のことですが、「弁護人」は刑事裁判で被疑者、被告人の弁護をするひとのこと。
○「勾留」と「拘留」
勾留は刑事裁判において被疑者、被告人の身柄を確保するですが、「拘留」は30日未満身柄を拘置する刑罰の一種です。
○「過料」と「科料」
「過料」は国、地方公共団体が行政上の軽い禁令を犯した者に対して科する金銭罰のことですが、「科料」一番軽い刑罰(1万円以下)の一種です。

他にも紛らわしい用語が多数ありますが、一般生活をするうえでさほど支障のないような知識でしょうから、そうした用語を使うときに調べて対応することでいいのかもしれません。ただ、法令については、非常に奥深いものがありますので、実際にそのような場面に遭遇したら、専門家に相談して対応する必要があると思います。
例えば、民事で訴えられて訴状が届いた際、訴状に対する答弁書を作成して裁判所に提出しなければなりません。自分には訴えられるような事実はないとしても、答弁書を提出して反論しなかったり、口頭弁論期日に欠席した場合は100%相手の言い分が認められてしまいます。特に民事の場合は、真実が勝つわけではなく、証拠が途切れた人が負けるといういわば形式的なシステムが取られているためです。
したがって、いざと言うときは、弁護士等の法律家に相談することが一番の解決方法だと思います。

2014年10月03日 [法律]
「必ず儲かる」「値上がり確実」「元本保証」「将来有望」など言葉には注意が必要です。確実に利益がでることを強調して投資や出資を勧誘する商法です。今は、確かに銀行へ預けても金利がほとんどつかず、この先、年金だけで暮らせるか心配する方も多いかと思います。悪徳業者は、その不安を煽って、未公開株、社債などの利殖話を勧めてくるのです。

詐欺の方法には次のように色々のパターンがあります。
○「劇場型」
投資関係のダイレクトメールが届いたため放置していたところ、突然、A社と名乗る者から送られてきた会社名を示して、B社の株を高く買い取りたいという電話があった。B社の株を購入し、A社に電話をしたものの、その後、連絡が取れなくなった。

○「被害回復型」
 以前、未公開株を500万円分買ったことがあるものの、売ることができずに困っていたところ、投資会社を名乗る会社から電話があり、買った500万円の未公開会株を買い取るので、他の会社の未公開株を100万円で買ってほしい旨言われた。先に買った未公開株が売れるのであればと思い、100万円で購入したところ、連絡が取れなくなった。

いずれも典型的な詐欺のパターンです。
電話勧誘でもうかる話などありません。理解できない儲け話には手を出さず、はっきりと断ることが必要です。
もし、そのような儲け話があったら、お金を出す前に必ず家族などに相談したり、お近くの消費生活センターに問い合わせてください。


2014年09月25日 [法律]
昨日のことです。電話が鳴ったのでとってみると警察からの電話でした。「こちら神奈川県警察ですが、現在、相模原市内において電話による詐欺事件が多発しています。その手口は、孫を装った男から600万円分の小切手が入ったカバンを病院に忘れたので用意できないかとか、事前に老人ホームの入居案内が送っておいて、その後、入居の名義を貸してほしいという電話があり、貸すだけならと言ったところ、また後日、名義貸しは犯罪になるので罪にならないように手配するので116万円を宅配便で送ってほしいなどというものです。もし、そのような電話があったら話を聞くことなく電話を切って、すぐ110番に電話してください」というような内容でした。
実は、1週間前くらいに我が家にも不審な電話があったのです。その電話の前日に家屋の修理に火災保険を使えるのを知っているかどうかの録音テープによるアンケートと称する電話があり、電話に出た妻は回答することなく電話を切ったそうです。するとその翌日、電話があり私がでたのですが、「こちら○○生活センターですが、昨日、奥様からアンケートをしてもらいました。あなたは火災保険で、屋根の修理とかできることを知っていますか」と言ってきました。普段はすぐ内容も聞くことなく切ってしまうのですが、○○生活センターと公的機関のような名前だったことと、妻が知らないうちにアンケートをしていたという話があったこともあり無下に断るのも失礼かと思い、火災保険のことは知らない旨答えたところ、自宅の築年数や屋根の形などを聞いてきた後、明日、説明にお伺いしますと言ってきたのです。○○生活センターがわざわざ火災保険の説明に来るなんてことは100%あり得ないことです。傷んでもいない屋根を見て修理が必要だと言って火災保険で修理をするという手口だと直感しました。当然、すぐ断りました。屋根が本当に壊れていて保険を使って修理するというのであれば詐欺ではないでしょうが、壊れてもいないのに修理して保険請求したら場合によっては詐欺の共犯になってしまうかもしれません。警察からの電話の際、この件についても伝えておきました。

○○生活センターからの電話を切った後、ネットで調べたところ、経済産業省消費者ホットラインに次のような火災保険に関する屋根の修理についての情報がありましたので参考にしてください。
http://www.kanto.meti.go.jp/webmag/series/syouhisya/1209syouhisya.htm

詐欺ではないにしろ、電話勧誘とか訪問販売があったときには、自分だけで判断して契約やその他の約束をすることなく、家族と相談したり、消費者生活センター、国民生活センターなどに相談する習慣をつけておくことが大切かと思います。

2014年08月25日 [法律]
契約についてのルールを定めた民法では、契約を結んだら、契約当事者はその契約を守らなければならないとしています。これが契約の原則です。
しかし、事業者と消費者とは情報の質や量において対等ではなく、「訪問販売」などの特殊な取引においいては、消費者にとって不意打ちとなり、契約内容を熟慮する余裕や他の商品と比較検討するなどのゆとりがない場合があります。
そこで、このような取引について、特定商取引などの法律では、事業者に対して「締結した契約内容」を書面にして消費者に交付するよう義務付けています。そして、交付された後、一定期間内であれば、消費者から契約を一方的に解除できるとしたのが「クーリング・オフ」制度です。

クーリング・オフの制度がある取引きとして有名なのが「訪問販売」です。その他、「電話勧誘取引」「特定継続的役務提供」(エステ、学習塾など)「連鎖販売取引」(マルチ商法など)「業務提供誘因販売取引」(内職商法)などがあります。
クーリングオフの期間は、8日間と20日間などがあります。そのうち、20日間については「連鎖販売取引」と「業務提供誘引販売取引」ですが、念のため、その期間は短い8日間内と覚えておいた方が無難かもしれません。
クーリング・オフの制度は、特定商取引法のほか、宅地建物取引業法、保険業法、金融商品取引法などでの規定もあります。

クーリング・オフをする場合は、必ず書面でする必要があります。消費者からクーリング・オフをする旨の通知を出した場合には、発信した時点で契約が最初からなかったものとなる強力な制度です。
ただ、ハガキで出す方法でもよいのですが、相手から通知をもらっていないなどと言われてトラブルになる可能性もありますので、高額な商品や悪質と思われる業者の場合は、内容証明郵便を使った方がいいでしょう。

クーリング・オフの期間は短いですので早めに出しておいた方が無難です。書面の書き方が分からなかったり、内容証明がわからない場合は、当事務所にお問い合わせいただくか、各地の消費生活センターに相談してください。

2014年08月22日 [法律]
「保証人」と「連帯保証人」の違いについて分かりますか。
単なる「保証人」であれば、債権者が保証人に払ってくれと言ってきた場合、「まずは借りた人に請求してください。」と言えます。しかし、「連帯保証人」の場合、その主張はできません。借りた本人と全く同じ立場に置かされているのです。つまり「連帯保証人」が自ら借金をしたと同じなのです。法的には一切の抗弁権がないのです。
これが「保証人」と「連帯保証人」との違いです。

連帯保証人を依頼してきた人から「絶対に迷惑をかけることはないからお願いします。」などと涙を流しながら言われたりした場合、仲の良い知り合いであればあるほど何とかしてあげなければならないという気持ちになるかと思います。連帯保証契約書に署名捺印をするだけでのことですから、それで友人の資金繰りができるのならと思ってしまうというのが人情かもしれません。

しかし、連帯保証というのは借主の返済が滞ったとき、あなた自身がお金を借りたのと同じことなるのです。
結論は、住宅ローンとか1000万円とか高額な場合で、相手が他人であるようなときは連帯保証人にはなってはいけないということです。あなたが1000万円や2000万円くらいいつでも人にあげることができるくらいの資産家であれば別ですが、そうでなかったら断るべきです。連帯保証になるのであれば、あなたが今、捨てても特に生活に支障がでない程度のお金の範囲内かと思います。
例えば、配偶者が住宅ローンの連帯保証人になっていた場合で、仮に離婚したとしても保証契約はなくなるものではありません。それは、連帯保証人である配偶者と銀行との契約ですから、離婚は銀行にとっては全く関係ないことなのです。配偶者間のことですからそれは冷たいのではないかと思うかもしれませんが、連帯保証契約はそのような強力な内容のものということなのです。

日弁連のデータによると、自己破産などの法的整理をした人の原因について「保証債務の返済、第三者の債務の肩代わり」と答えた人が約25%いるそうです。この数字をみると驚いてしまいます。

もちろん、身近な親族間でのことであれば別かと思います。しかし特に相手が他人であるような場合、善意が結果的に人間関係を壊し、更にあなたの財産を奪うことになりかねないということを慎重に考えて行動する必要があるかと思います。

2014年08月14日 [法律]
東京の古書店が、自店のホームページにおいて万引きをしたとされる男の画像をネット上で公開すると警告したことが話題になっています。
問題の背景には、後を絶たない万引き被害があるようです。警察庁によると、2013年の万引きの認知件数は約12万6千件(一日約350件)で、小売業者にとっては経営を圧迫する死活問題といえます。この数字は警察が認知した件数であって、このほかに暗数があるでしょうから、実際には、この何倍、何十倍の万引きが横行しているといっても間違いではないかと思います。
今回の同店の取った措置、つまり、商品を返さなければ窃盗犯としてネット上に顔を公開するという行為は脅迫罪、実際に顔を公開してしまえば名誉棄損罪にあたる可能性があるとのことで、警視庁の要請により、公開は中止したようです。しかし、法律家の意見は分かれています。25万円という高額商品を取り返すために犯人に期限を設けて自主的な返却を促すという目的からみて問題はないとする法律家もいます。

ちなみに、自力救済(自救行為)について、わが国では、刑事、民事法のいずれも禁止しています。いかなる原因によろうとある人がある物を事実上支配している場合に、他人が私力によってそれを回復する行為をしてはならず、法的手続を通じて行うことが要請されているということです。
例えば、盗まれた自転車を発見した場合、自分で勝手に持ち帰ってはならず、警察への通報などによる法的手続きによって取り返さなければなりません。確かに自分たちの力で権利を回復することが認められたとしたら、弱肉強食の混乱した社会になりかねませんからやむを得ないことです。
しかし、警察を呼んでいたのでは乗って行かれてしまうというように官憲の力を借りる暇がないとき、自ら取り返すという自力救済が認められることもあります。これは正当防衛であるという解釈によるものです。
自力救済に関する最高裁の判例です。
「法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」(最判S40年12月7日)
というものですが、あくまで例外的にということですから注意が必要です。

今回の万引きは、25万円という高額商品であることと、盗んだという決定的な証拠(ビデオ映像等)があり、これだけの大きな問題となったことを考えると、警察は捜査してくれると思います。しかし、金額が2千円とか3千円とかの商品の万引きであったとしたら、現行犯以外は泣き寝入りせざるを得ないというのが現実でしょう。

万引きは、小売店にとって死活問題であることを考えると、同店の行為に同情するという意見は多数あるようです。
いずれにしても、万引き対策は難しい問題であることに間違いありません。

2014年08月13日 [法律]
今年の春、私は、バイクに乗っていた際、ズボンのポケットから財布を落としたことがあります。気が付いてから、すぐ走ってきた道を戻って探したのですが、既に拾われた後のようで見つかりませんでした。そのまま、警察署の遺失物係の窓口へ行って、遺失物届けをしました。その際、女性の係官は、「財布って結構戻ってくることが多いんですよ」と言ったので、それなりに期待をしていたのですが、4か月ほど過ぎた今も届け出はありません。財布の中には、現金5万円程度とキャッシュカードやクレジットカードを入れてあったので、現金は無理でもカード類だけでも戻ってくることを期待したのですがダメでした。キャッシュカードは暗証番号があるので使用することはできないでしょうが、クレジットカードは番号だけで買い物ができるので、すぐクレジットカード会社に届け出をして使用停止の手続きをしてもらいました。その際、「今のところ不正使用をされていないですね」とのことで、まずはホッと一息でした。

落とした自分が悪いのですが、この出来事をきっかけに次のような余計なことを考えてみました。

1 今回のケースだと、拾った人は速やかに警察に届けないと「遺失物横領罪」(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金)になります。でも5万円くらいの落し物で警察の捜査は期待できませんから、拾った人が罪に問われる可能性は極めて少ないでしょう。

2 もし、私が、歩いている際、荷物(財布入り)が重いので少しの時間だけ道路沿いの植え込みの中に見えないようにして置いたとします。そこで歩いている人がその荷物を見つけて落し物だと認識して警察に届けることなく失敬した場合は、客観的に見れば窃盗罪(10年以下の懲役)になります。しかし、当の本人は落し物だと認識したのだから、主観的には遺失物横領罪ということになります。確かに、道路沿いの植え込みに貴重な財布入りの荷物を置くなんてことは常識的にあり得ないと考えても不思議ではありません。

3 このように客観的事実と主観的事実が異なる場合、どのような罪になるのでしょうか。これは刑法を学ぶと総論で最初の頃に勉強する錯誤の問題になります。結論として、失敬した人は、軽い罪の「遺失物横領罪」を犯したということになるかと思われます。

4 では、今回の件について、拾った人が速やかに警察に届けたとします。その場合、刑法上の罪は発生しませんが、他の法律である遺失物法4条に規定されている5パーセントから20パーセントの報奨金の問題があります。
私が、一時的に置いたというものであれば、遺失物ではないので報奨金は発生しないことになります。しかし、遺失物と認識して警察に届け出た人が「道路に財布入りの荷物を置くことなど常識的にあり得ない。これは間違いなく遺失物だ」として遺失物法に規定する報奨金を請求したとするとどうなるのでしょうか。
ちなみに報奨金は5パーセントから20パーセントの範囲内で支払わなければならないと規定されているので、その範囲内であれば拾得者はその額が多い少ないについての要求はできないと解釈されているようです。
このような場合、裁判所がどのような判断するかは分かりません。
しかし、私自身で考えれば法律論は度外視して、やはり拾得者の善意とご苦労を考えて報奨金は支払うべきだと思います。

世の中、法律論だけを振りかざすと角が立ちます。時として人情論として考えることも大切なことではないでしょうか。