
2017年10月11日 [家系図]
実の母子間の養子縁組
先日、家系図作成のため戸籍を見ていたところ、なんと実の親子が養子縁組をしているという記載を見つけました。実母が養母、その実子(嫡出子)が養子というものです。この戸籍は昭和初期に書かれたものですが、通常あり得ないことです。
以前、本ブログで紹介したことがありますが、例えば、母親が未婚のときに生んだ子(非嫡出子)について、後に母親が婚姻する際、連れ子と婚姻する男性との間で養子縁組をするとともに、母子間でも養子縁組をするという事例はあります。その理由は、実子であっても母子間で養子縁組をすることによって嫡出子の身分を取得することになるからです。
しかし、今回の例は、嫡出子の実子とその母が養子縁組をしているのです。
嫡出子をさらに養子にすることは何の意味もないかと思います。意味があると考えられるのは名字を養子縁組によって変えることです。名字を変えるためには通常は家庭裁判所の許可が必要ですが、養子縁組だと役所への届出だけで済んでしまします。しかし、本例については親子の名字も同じです。
したがって、そのような届出を受けた役所は受理しないと思うのですが、間違えて受理してしまったのでしょうか。どうもそうではないのかも知れません。少なくとも民法上、実の親子間の養子縁組を禁止する規定はありません。
そこで先例を調べてみると、養子縁組の成立要件として次のような通達が出されていました。
〇 養子が養親の嫡出子でないこと(昭和23.1.13民事甲17号通達)
〇 自己の嫡出子を養子として誤って受理されたときは、有効な縁組として取り扱う(昭和24.3.15民事甲3268号通達)

したがって、昭和23年1月以降にそのような養子縁組の届出があったら役所は同通達を根拠に受理しません。
しかし、本事例は、本通達が発出される前の昭和初期のことです。当時、届出を受けた役所が無意味な届出であると説得しているのかもしれません。それとも誤って受理してしまったのでしょうか。
戸籍の誤った記載といえば、現在の戸籍にはほとんどありません。ほとんどというのは、役人も人間ですから時には誤りはあるものです。数か月ほど前、当事務所で戸籍を役所に請求したところ、役所で誤りに気づき、それを更正するので待ってほしいと言われることがありました。そのようなことは年に1、2回あります。その誤りというのは、婚姻で本籍地が変わった際、新しい戸籍にはその内容が記載されていたものの、従前の戸籍には婚姻した旨の記載が漏れ、独身のまま親の戸籍に残っていたのです。
このように最近でも誤りというのはありますが、明治、大正、昭和の戦前くらいの時代になると誤りの数の桁が違ってきます。その当時の戸籍を5通ほどみれば1箇所や2箇所の誤りは見つかるものです。
それも「古き良き時代」だったということなのでしょうか。
以前、本ブログで紹介したことがありますが、例えば、母親が未婚のときに生んだ子(非嫡出子)について、後に母親が婚姻する際、連れ子と婚姻する男性との間で養子縁組をするとともに、母子間でも養子縁組をするという事例はあります。その理由は、実子であっても母子間で養子縁組をすることによって嫡出子の身分を取得することになるからです。
しかし、今回の例は、嫡出子の実子とその母が養子縁組をしているのです。
嫡出子をさらに養子にすることは何の意味もないかと思います。意味があると考えられるのは名字を養子縁組によって変えることです。名字を変えるためには通常は家庭裁判所の許可が必要ですが、養子縁組だと役所への届出だけで済んでしまします。しかし、本例については親子の名字も同じです。
したがって、そのような届出を受けた役所は受理しないと思うのですが、間違えて受理してしまったのでしょうか。どうもそうではないのかも知れません。少なくとも民法上、実の親子間の養子縁組を禁止する規定はありません。
そこで先例を調べてみると、養子縁組の成立要件として次のような通達が出されていました。
〇 養子が養親の嫡出子でないこと(昭和23.1.13民事甲17号通達)
〇 自己の嫡出子を養子として誤って受理されたときは、有効な縁組として取り扱う(昭和24.3.15民事甲3268号通達)

したがって、昭和23年1月以降にそのような養子縁組の届出があったら役所は同通達を根拠に受理しません。
しかし、本事例は、本通達が発出される前の昭和初期のことです。当時、届出を受けた役所が無意味な届出であると説得しているのかもしれません。それとも誤って受理してしまったのでしょうか。
戸籍の誤った記載といえば、現在の戸籍にはほとんどありません。ほとんどというのは、役人も人間ですから時には誤りはあるものです。数か月ほど前、当事務所で戸籍を役所に請求したところ、役所で誤りに気づき、それを更正するので待ってほしいと言われることがありました。そのようなことは年に1、2回あります。その誤りというのは、婚姻で本籍地が変わった際、新しい戸籍にはその内容が記載されていたものの、従前の戸籍には婚姻した旨の記載が漏れ、独身のまま親の戸籍に残っていたのです。
このように最近でも誤りというのはありますが、明治、大正、昭和の戦前くらいの時代になると誤りの数の桁が違ってきます。その当時の戸籍を5通ほどみれば1箇所や2箇所の誤りは見つかるものです。
それも「古き良き時代」だったということなのでしょうか。