
2014年08月13日 [法律]
落し物
今年の春、私は、バイクに乗っていた際、ズボンのポケットから財布を落としたことがあります。気が付いてから、すぐ走ってきた道を戻って探したのですが、既に拾われた後のようで見つかりませんでした。そのまま、警察署の遺失物係の窓口へ行って、遺失物届けをしました。その際、女性の係官は、「財布って結構戻ってくることが多いんですよ」と言ったので、それなりに期待をしていたのですが、4か月ほど過ぎた今も届け出はありません。財布の中には、現金5万円程度とキャッシュカードやクレジットカードを入れてあったので、現金は無理でもカード類だけでも戻ってくることを期待したのですがダメでした。キャッシュカードは暗証番号があるので使用することはできないでしょうが、クレジットカードは番号だけで買い物ができるので、すぐクレジットカード会社に届け出をして使用停止の手続きをしてもらいました。その際、「今のところ不正使用をされていないですね」とのことで、まずはホッと一息でした。
落とした自分が悪いのですが、この出来事をきっかけに次のような余計なことを考えてみました。
1 今回のケースだと、拾った人は速やかに警察に届けないと「遺失物横領罪」(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金)になります。でも5万円くらいの落し物で警察の捜査は期待できませんから、拾った人が罪に問われる可能性は極めて少ないでしょう。
2 もし、私が、歩いている際、荷物(財布入り)が重いので少しの時間だけ道路沿いの植え込みの中に見えないようにして置いたとします。そこで歩いている人がその荷物を見つけて落し物だと認識して警察に届けることなく失敬した場合は、客観的に見れば窃盗罪(10年以下の懲役)になります。しかし、当の本人は落し物だと認識したのだから、主観的には遺失物横領罪ということになります。確かに、道路沿いの植え込みに貴重な財布入りの荷物を置くなんてことは常識的にあり得ないと考えても不思議ではありません。
3 このように客観的事実と主観的事実が異なる場合、どのような罪になるのでしょうか。これは刑法を学ぶと総論で最初の頃に勉強する錯誤の問題になります。結論として、失敬した人は、軽い罪の「遺失物横領罪」を犯したということになるかと思われます。
4 では、今回の件について、拾った人が速やかに警察に届けたとします。その場合、刑法上の罪は発生しませんが、他の法律である遺失物法4条に規定されている5パーセントから20パーセントの報奨金の問題があります。
私が、一時的に置いたというものであれば、遺失物ではないので報奨金は発生しないことになります。しかし、遺失物と認識して警察に届け出た人が「道路に財布入りの荷物を置くことなど常識的にあり得ない。これは間違いなく遺失物だ」として遺失物法に規定する報奨金を請求したとするとどうなるのでしょうか。
ちなみに報奨金は5パーセントから20パーセントの範囲内で支払わなければならないと規定されているので、その範囲内であれば拾得者はその額が多い少ないについての要求はできないと解釈されているようです。
このような場合、裁判所がどのような判断するかは分かりません。
しかし、私自身で考えれば法律論は度外視して、やはり拾得者の善意とご苦労を考えて報奨金は支払うべきだと思います。
世の中、法律論だけを振りかざすと角が立ちます。時として人情論として考えることも大切なことではないでしょうか。
落とした自分が悪いのですが、この出来事をきっかけに次のような余計なことを考えてみました。
1 今回のケースだと、拾った人は速やかに警察に届けないと「遺失物横領罪」(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金)になります。でも5万円くらいの落し物で警察の捜査は期待できませんから、拾った人が罪に問われる可能性は極めて少ないでしょう。
2 もし、私が、歩いている際、荷物(財布入り)が重いので少しの時間だけ道路沿いの植え込みの中に見えないようにして置いたとします。そこで歩いている人がその荷物を見つけて落し物だと認識して警察に届けることなく失敬した場合は、客観的に見れば窃盗罪(10年以下の懲役)になります。しかし、当の本人は落し物だと認識したのだから、主観的には遺失物横領罪ということになります。確かに、道路沿いの植え込みに貴重な財布入りの荷物を置くなんてことは常識的にあり得ないと考えても不思議ではありません。
3 このように客観的事実と主観的事実が異なる場合、どのような罪になるのでしょうか。これは刑法を学ぶと総論で最初の頃に勉強する錯誤の問題になります。結論として、失敬した人は、軽い罪の「遺失物横領罪」を犯したということになるかと思われます。
4 では、今回の件について、拾った人が速やかに警察に届けたとします。その場合、刑法上の罪は発生しませんが、他の法律である遺失物法4条に規定されている5パーセントから20パーセントの報奨金の問題があります。
私が、一時的に置いたというものであれば、遺失物ではないので報奨金は発生しないことになります。しかし、遺失物と認識して警察に届け出た人が「道路に財布入りの荷物を置くことなど常識的にあり得ない。これは間違いなく遺失物だ」として遺失物法に規定する報奨金を請求したとするとどうなるのでしょうか。
ちなみに報奨金は5パーセントから20パーセントの範囲内で支払わなければならないと規定されているので、その範囲内であれば拾得者はその額が多い少ないについての要求はできないと解釈されているようです。
このような場合、裁判所がどのような判断するかは分かりません。
しかし、私自身で考えれば法律論は度外視して、やはり拾得者の善意とご苦労を考えて報奨金は支払うべきだと思います。
世の中、法律論だけを振りかざすと角が立ちます。時として人情論として考えることも大切なことではないでしょうか。