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2014年08月14日 [法律]

万引き

東京の古書店が、自店のホームページにおいて万引きをしたとされる男の画像をネット上で公開すると警告したことが話題になっています。
問題の背景には、後を絶たない万引き被害があるようです。警察庁によると、2013年の万引きの認知件数は約12万6千件(一日約350件)で、小売業者にとっては経営を圧迫する死活問題といえます。この数字は警察が認知した件数であって、このほかに暗数があるでしょうから、実際には、この何倍、何十倍の万引きが横行しているといっても間違いではないかと思います。
今回の同店の取った措置、つまり、商品を返さなければ窃盗犯としてネット上に顔を公開するという行為は脅迫罪、実際に顔を公開してしまえば名誉棄損罪にあたる可能性があるとのことで、警視庁の要請により、公開は中止したようです。しかし、法律家の意見は分かれています。25万円という高額商品を取り返すために犯人に期限を設けて自主的な返却を促すという目的からみて問題はないとする法律家もいます。

ちなみに、自力救済(自救行為)について、わが国では、刑事、民事法のいずれも禁止しています。いかなる原因によろうとある人がある物を事実上支配している場合に、他人が私力によってそれを回復する行為をしてはならず、法的手続を通じて行うことが要請されているということです。
例えば、盗まれた自転車を発見した場合、自分で勝手に持ち帰ってはならず、警察への通報などによる法的手続きによって取り返さなければなりません。確かに自分たちの力で権利を回復することが認められたとしたら、弱肉強食の混乱した社会になりかねませんからやむを得ないことです。
しかし、警察を呼んでいたのでは乗って行かれてしまうというように官憲の力を借りる暇がないとき、自ら取り返すという自力救済が認められることもあります。これは正当防衛であるという解釈によるものです。
自力救済に関する最高裁の判例です。
「法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」(最判S40年12月7日)
というものですが、あくまで例外的にということですから注意が必要です。

今回の万引きは、25万円という高額商品であることと、盗んだという決定的な証拠(ビデオ映像等)があり、これだけの大きな問題となったことを考えると、警察は捜査してくれると思います。しかし、金額が2千円とか3千円とかの商品の万引きであったとしたら、現行犯以外は泣き寝入りせざるを得ないというのが現実でしょう。

万引きは、小売店にとって死活問題であることを考えると、同店の行為に同情するという意見は多数あるようです。
いずれにしても、万引き対策は難しい問題であることに間違いありません。


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